anezakimanのカマリヤ日記

横浜の外れから諸行無常の日々を綴ります。

「鎌倉殿の13人」、全編鑑賞

地元カマリヤ日記と銘打ちながら、日本各地や海外のことばかりだねえ(苦笑)。地元に近いネタとして、日本に帰ってからみたい番組があった。2022年のNHK大河ドラマ、「鎌倉殿の13人」である。

ここ、カマリヤのある金沢区は、鎌倉市、逗子市、横須賀市と隣接しており、鎌倉幕府はもとより三浦義村和田義盛の本拠地にも近い。畠山重忠由来の禅寺は、家から歩いて15分のところにある。後述する本にも

横浜市金沢区は、鎌倉時代後期には、鎌倉の経済圏にあったといっていい。

とある。

アブダビにいた時から、日本に帰ったら三谷幸喜脚本のこの歴史ドラマを観たいと思ってきた。

週末落ち着き始めた1月中旬から、Amazon Prime Video経由で見始める。何しろ全48話。初回が57分、最終回が59分、あとは毎回43分の全部で35時間の長旅であった。週末のテレビ鑑賞は、月から土までの分を撮り溜めしたNHK朝ドラの「ブギウギ」(主演の趣里さんが水谷豊と伊藤蘭の娘さんだと途中で知って驚愕、何とも素晴らしい女優である)もあり忙しいのだ。結局全編観賞終えたのが2月末となった。

思っていた以上に面白く、鎌倉時代前後の荒々しくもダイナミックな時代ドラマに魅了された。主演の北条義時小栗旬)が純粋無垢な田舎武士から、権謀術数を駆使する策士に苦悩しながらも成長していく過程、激しい時代のイメージにぴったりの登場人物、血で血を争う殺伐とした歴史的事実ながら、時に三谷脚本のニヤッとする会話、こうしたハラハラドキドキ、時々ほっこりとした展開に、あっという間に全編走り抜けた印象である。

元々関心のあった鎌倉の時代と場所であり、以前読んだ司馬朗太郎さんの下記名作を今回のテレビ鑑賞と並行して再読した。

以下のような表現がドラマとも重曹的に重なり合い、この時代と場所の雰囲気が一層感じられたように思う。

鎌倉幕府がもしつくられてなければ、その後の日本史は、二流の歴史だったろう。農民ー武士という大いなる農民ーが、政権をつくった。律令制の土地制度という不条理なものから、その農地をひらいた者や、その子孫が、頼朝の政権によって農地の所有をたしかなものにした。

この人物(源頼朝)が、1180年に挙兵し、1185年、平家を西海に討ち沈めるまでの5年間ほど、東国全体の武者たちにとって華やかな時代はなかった。あるいは日本史そのものがー庶民が大量に舞台にあがったという点でー沸きたつような時代だったといえる。

鎌倉時代は、もともと頼朝と北条氏の合資会社で、頼朝の死後は、移るべくして移った。奇妙なことに、頼朝の血流が絶えてからのほうが、政権は安定した。

天下の実権は、北条執権ににぎられた。この一族は、およそ華美ではなく、質実で、農民の親玉のようだった。

とくに、義時、泰時、時頼が、日本政治史上の巨材だったといってよい。時頼の嫡子が時宗である。時宗は、武家政治の安定期に第八代執権の職についた。そのときに元寇(モンゴル襲来)があったのは、日本史の幸運の一つだったといっていい。

かれはこの難事に対処するために生まれてきたかのような人柄で、つねによき助言を聞き、聡明に判断し、いったん決めると、動かなかった。

この当時、北条一族から多くの逸材が出た。実時もその一人で、武芸にも長じ、また訴訟事務にも堪能だったが、なによりも好学の人で、金沢文庫を興し、後世を益した人物である。

これからはこうした歴史的背景、空間の雰囲気を味わいながら、カマリヤ周辺探索に本腰を入れたいものだ。